日本を代表する、大島紬と結城紬

大島紬(おおしまつむぎ)
◆産地:鹿児島県大島郡
丹精込めた泥染めと織りでつややかな黒とさわやかな肌触りが魅力。

大島紬は、同じ紬でも結城紬のように真綿からつむいだ糸ではなく、生糸を使って織られる。美しいつやと軽くさわやかな着心地、そして、泥染めの堅牢さが特徴である。

泥藍染の大島紬

市松模様で構成されている

全体は大きな市松模様で構成されている。その一つ一つの中に細い絣で模様を織り出している。大島紬にしては現代的なモダンな柄である。ノヽ掛や帯によつて幅広く着られる泥藍染。

その模様は単純な十字絣から精巧なものまで、絣で表現される。蘇鉄など、島の自然が図案化されている。
絣糸は、かっては括り絣といって手で糸を括ってつくったが、現在では、図案を使って締機で糸を括っていく。この締機で織った布(この布を絣筵と呼ぶ)を染色し、それからほどいて、絣の柄が合うように丹念に織ちていく。

詳しくは、大島紬が完成するまでの工程を参考にしてください。工程の詳細を写真を加えて解説しています。

大島紬には、泥大島・泥藍大島・草本染大島・自大島などがあり、化学染料が使われるようになってからは、色大島も織られるようになった。

濃い紫の草木染大島

幾何模様をタテヨコ絣で織り出した濃い紫の草木染大島。反物で見るより仕立て上げて着たほうが、ずつと引き立って華やかである。中年以上の人にすすめたい一品。

島の自然から生まれる色

泥大島の染料となるのは、春に梅のような白い花が咲く車輪梅(地元ではテーチギと呼ぶ)である。その幹を煎じた液に糸をつける。最初は淡いベージュ色に染まる程度だが、その糸を干してまた液につけるとやや濃くなる。

この工程を何十回も繰り返すと濃い色になるのだ。その糸を泥田の中につけて何度も何度も素手で揉むと、車輸梅のタンニンと泥田の中の鉄分が和合して、堅牢で美しい風合いを生む。また、タンニンの薬用効果が女性の婦人病を防ぎ、造血剤にもなるという。

この泥染めに藍を加えれば「泥藍染め」となる。

細い十字絣の白大島

タテヨコの細い十字絣の白大島。男物であるが、女性が着ても素敵。着こなし一つで粋にも、モダンにも、上品にもなる。

大島紬ができるまで

大島紬は複雑で手間のかかる工程を経て完成するが、ここでは特徴的な工程を紹介しておく。

特徴的な工程

フォーマルも開発

手間暇かけた大島紬が高価なのも無理はないが、おしゃれな趣味のきものとして用いられ、いくら高価でも正装にはならないといわれてきた。
しかし、最近はフォーマルな場所にも着られるように模様が考案され、織りのきものとはいっても、大島紬の訪問着などもつくられるようになっている。

フォーマルな大島紬

上前の肩から裾にかけて模様取りした片身代わりの訪問着。この大胆な模様は、全面に細かな絣で織られている。
着こなしのアドバイスとしては、生糸で織るため滑りやすく、さらさらと体に馴染みにくい面もある。また、シミができると落ちにくいので、飲食の際は、特に酸に注意を。

結城紬

ゆうきつむぎ◆産地:茨城県結城市
最高の手業で織る紬の代表格

江戸時代に発展した織物

高級品の代名詞のようにいわれる結城紬だが、原点は奈良時代の「あしぎぬ」にあり、もともとは生糸で織った粗い絹織物。室町時代には常陸紬の名で室町幕府などに献上され、全国的に知られるようになった。

江戸時代に入るとさらに改良が加えられ、精巧なものがつくられるようになる。これは当時の幕府の代官伊奈備前守忠次が、信州上田から腕のいい職工を招いて力を注いだためともいう。詳細は、結城紬・大島紬についての誰も知らない話をご覧ください。結城紬の裏話を知ることができます。

城下町として栄えた結城地方は、農耕も開けて桑の本の生育もよく、農家の副業として織物が盛んに行われた。そして結城紬の名は、一般にも定着していったのである。

白地に絣織で模様
白地に絣織で模様を織り出すと、全体が自つぽい感じになる。これは秋口より春先に着たほうが、さわやかである。

真綿から手仕事で撚り出す糸

一枚の結城紬を織り上げるためには、長い月日といくつもの工程が必要である。高度な技と勘と経験が要求される伝統的な糸紡ぎ、絣括り、居坐機などは、国の重要無形文化財に指定されている。

この精緻な美しい布には、生糸にならない屑繭や、玉繭を真綿にして紡いだ糸を用いる。真綿から紡いだ糸で織るから、ふんわりとした暖かさ、柔らかさと、体になじむ着心地のよさで人気がある。

結城紬の風合いのよさは、真綿から糸を引き出す紡ぎ方にかかっている。指につばをつけながら、撚りつつ糸を引き出していく。そのためには、技はいうまでもないが、健康な人の唾液が必要となる。

紡ぎ手は、ストレスを極力避けなければならないという。着物一枚に必要な真綿の数は三百五十枚にもなり、糸を撚るのに熟練者でも三か月もかかるのだそうだ。

と染めて はないかと見ま違うほど現代的な作品
細い絣で模様を織り出している。モダンなデザインがぼかしたように織られており、一見すると染めてはないかと見ま違うほど現代的な作品である。

多彩な色使いが特徴的
昔からの結城紬らしい柄。多彩な色使いが特徴的である。最近は財布や名刺入れなどの小物によく見かける。

着こなしのアドバイス

体に馴染みやすいので着崩れしにくい。袷に仕立てれば十月から五月まで着られるが、四月や五月に着るより、秋から冬にかけてのほうが、より結城のよさが引き立つように思う。

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