大島紬が完成するまでの工程

大島紬の原料である絹糸は、一紀で28~ 45gの重さの糸を使用しますが、製品の糸の密度、染色の別によって糸の太さは異なります。県内の製糸工場や宮崎県、または中京地区で製糸された21~ 28中の生糸を購入し、目的の太さに合撚します。一般に経糸は撚数がlm間に約300回、緯糸は約100回程度の右片撚です。

製織、製品の品質に大きく影響するので厳重にされるのです

精練

合撚された生糸は、セリシン(蚕が合成する蛋白質)などを取り除くために精練を行います。昭和40年(1965)頃に、袋練りから竿練りに変わり噴射式の精錬機が使用されています。精錬剤としてマルセル石鹸、重曹、モノゲン、そのほかの助剤が使用されていますが、その濃度、混合剤の割合などは工場によつて異なります。また専業の工場のほか、紬の生産と一貫した作業の工場もあります。

検査して不良品を選別

精練された絹糸は、撚斑、精練斑などを検査して不良品を選別し、合格品は重量(日付)別に分類します。この絹糸の良否が後の絣加工、製織、製品の品質、風合いなどに大きく影響するので、厳重に検査、選別されるのです。

図案の制作

大島紬の図案には、産地独自の考案図案と、消費地の問屋、買継商から送られてくる誂え図案があります。この誂え図案も原図のままでは絣加工が出来ませんので、地元の図案家が大島紬用の図案紙に、絣加工が出来るように調製して書き替えられます。

近年は消費者の好みが多様化し、また絣加工技術も進歩したため、絣独特の幾何学模様だけでなく、山水調の繊細な柄も多くなっています。その上婦人用の製品は同一柄を最高16反しか製造しないので、年間何万種類もの柄を制作する必要があり、図案作成は広汎な知識と経験、考案力などが要求されます。

図案家が大島紬用の図案紙に調製して書き替えます

整経・綾取り(1)

小枠またはボビンに巻いた絹糸を、設計に基づいて枠立てし、整経台を使って絣用糸の整経を行います。図案に基づいて設計された絣糸の長さと本数を整経するのです。経糸の長さは、一般に一疋(2反分)の長さで一定していますが、緯糸は柄の大きさと伸びによって一完全模様の長さが異なり、一定していません。従って整経長と整経本数を間違わないよう注意しなければなりません。

整経中に16本単位の荒綾と、一本一本の本綾を取り、後の絣加工で糸が分離しやすいように、またもつれたり、順番を間違えないようにするために綾を取り、これがこばれないように丈夫な糸を通して結んでおきます。

糊張り

同一模様になる絣糸16本を合わせて糊付けし、この16本の糸がずれたり、バラバラにならないよう糊付けしたら、張力を与えたまま充分乾燥します。乾燥途中で16本の糸が東になって固着し、また糸束同志が付着しないように、時々手で軽くしごかねばなりません。また全体の糸束の張力は一定にしておく必要があり、これが違うと製織の際に絣合わせが不揃いのため困難となります。

糊剤は一般にふのり、いぎすなどの海藻を使用し、一部合成糊剤も利用されています。

墨付け

糊張り乾燥した絣用の糸は数日間放置して張力を復元させた後に、絣締めのための基準になる印を付けます。この間隔は図柄によって各々異なりますが、それぞれの図案に合わせて正確に付けなければなりません。

綿糸の綜続通し

大島紬の絣模様は織り締め法によって加工され、これに使用する織機を締機といいます。図案によって絣締めに必要な量の綿糸を経糸として機に巻き込み、これに糊付けした絣用の絹糸を横から織り込んでいきます。

綜続は普通2枚使用しますが、柄模様によっては4枚使用する場合もあります。この前後の綜続に綿糸を交互に順序よく通すことによつて、平織式の開口をし、織り込みが可能となります。

綿糸の筏通し

綜続に通した綿糸は次に歳通しをします。点絣模様を締める場合は歳の一羽に8本の綿糸を通し、線絣の場合は綿糸を各羽に連続して通しますが、通す本数は綿糸の太さによって異なります。絣模様のない地空きの部分は綿糸を通さないので、この余分の綿糸はゆるく上に引き上げておきます。

経絣締め

経絣は歳巾間に一完全模様を締めます。したがって槙様の大きさによって綜紐、歳の長さは異なります。大島紬の絣模様は、経方向に同一の模様が対称的に向かい合って連続しているので、経絣は歳巾を一完全模様として一疋の長さの経糸を連続して全部を織り込むと、これで経絣の一列の模様が締められるのです。

織り上がると筵状になっているので、絣 筵といいます。2列目の模様を織り締めする時は、1列目の絣締めで筏通しした綿糸は抜き出して、新たに2列目の絣模様に合わせて歳を通し変えた後に、2列目の絣用絹糸を織り込んでいきます。こうして次々に各列の絣模様を締めるのです。

従って柄模様が大きくなればなるほど、模様の異なる絣糸の本数が多くなり、筏の通し変えの回数も増えるので、絣締めに手間がかかります。この絣締めは、強く織り込まないと染色の際に、染料が綿糸で締め織りした中まで浸透して、絣が不明瞭になるので男性の作業になっています。

緯絣締め

緯絣の絣締めは、一本の長い糸に一段一段の違った絣模様を連続して作らなければなりませんが、一完全模様を織るのに何mの糸が必要で、全体でこの模様がいくつあるかを計算して、整経糊張りしてあるので、これらの糸全体をまとめて一緒に絣締めします。

まず糸の端から緯絣の一段目の模様を図案に合わせて絣締めをし、一段目が終わるとその糸の続きに二段目の絣模様を絣締めします。以下同様に三段、四段と続けて、一完全模様を順番に織り込んでいきます。綿糸の通し変えは、経絣締めと同様です。経緯の絣締めが完了するとこれを染色して絣糸にします。

完全模様を順番に織り込んでいきます

シャリンバイ

大島紬の染色に使用するシャリンバイ(車輪梅)は奄美ではテーチ木といい、通用語ともなっています。亜熱帯系のバラ科に属する常緑樹で山野に自生しており、繁殖力は旺盛ですが、成長が遅く、一般に20年以上のものを染色に使用します。3~ 4月になると房状に白い花がいっせいに咲き揃い、街路樹としても賞用されています。

貯木と細断

シャリンバイは、約1週間分程度を山から伐り出し、これを貯蔵して使用します。枯れると染料として質が低下するので、大量貯蔵はできません。昭和30年(1955)代までは山から伐り出す際に根まで掘り取って使用していましたが、現在は労働力不足のため幹だけを伐り出して使用しています。

シャリンバイの染色成分は樹皮に多く含まれていますが、樹皮だけを剥ぎ取ることは困難なため、幹や枝をそのまま手斧で細断します。なるべく染色成分が浸出しやすいように、割れ目を多く出すのが斧使いのコツです。近年は動力の細断機を使用する工場も多くなっています。

液の煎出

細断したシャリンバイは鉄製の大釜に入れ、充分に漬かるように水を入れて、十数時間煮沸します。重曹をシャリンバイ100kgに対し125g添加すると煎出が容易になります。一般にシャリンバイ100kgから200~2502の染液を採取しますが、シャリンバイの生育条件、伐採時期によつてその
濃度は異なります。

この染液はPH5~ 6程度で、タンニン酸と色素の含有量が多く、煎出液は放冷後に使用します。

染色

丸底の浅い鍋の中に、糸の約10倍量のシャリンバイ液を入れ、軽く揉みながらゆっくり染着させます。染色後に軽く絞って液を取り替え、繰り返して何回も染色しますが、染色途中に染着を良くするため、三回越しに石灰液に漬けて処理します。

濃茶褐色になるまで、充分に染色した後にこれを乾燥させます。一般に地糸と絣糸は別々に染色します。天気の良い日は野外乾燥をしますが、雨天などの場合は炭火を使って乾燥させることもあります。

泥染め

充分にシャリンバイ染色し乾燥した糸は泥田の中で染色します。泥土中の鉄塩などが媒染の働きをして、濃茶褐色であった糸はタンニン酸鉄の黒色に染着するのです。泥染めは軽く揉んだり、叩いたりしながら充分に時間をかけて染めますが、染色操作が強いと、糸を毛羽立たせて品質を落とすので、その加減は熟練を要し、また泥田の土質も充分に調ベて選定しなければなりません。

シャリンバイ染色し乾燥した糸は泥田の中で染色します

この泥染めまでの一工程では充分な黒色に染色されないので、さらにこのシャリンバイ染色、泥染めの工程を繰り返して、真つ黒になるまで染色します。

普通染色回数は合計してシャリンバイ染色が50~ 70回、泥染めが3~ 5回です。シャリンバイ液や泥上の成分や濃度、職人の染色技術によって染色回数は一定しておらず、染着加減を見て回数を定めます。染色後は充分水洗して不純物を洗い落とします。

藍染め

昔の大島紬は、琉球藍、山藍を使用していましたが、昭和の初め頃からタデ藍(阿波藍)を使用するようになり、これを醗酵建法によつて藍建をして使用しています。泥藍染大島紬の染色は、糸を淡藍色に先染めした後に絣締めを行い、絣の地色をシャリンバイ液と泥上で染色しています。

泥藍染大島紬の染色は、糸を淡藍色に先染めします

正藍染大島紬は、絣締めした後に地色を濃紺色になるまで繰り返して染色します。束状になった糸が、狭い間隔で織り締めされているので、糸束の表面と芯部を一様の濃度に染色するためには、染料の浸透はもちろん空気酸化も一様にして、斑染めを防止しなければならないので熟練を要します。

化学染料染め

大島紬の染色に使用する化学染料は、一般に金属錯塩染料と酸性染料で、特殊な染色加工の場合は直接染料も使用します。

絣の染色は、柄の構成や配色などによって加工法が異なりますが、単色の地色は浸染法によって行われます。束状の糸が狭い間隔で織り締めされているので、斑染めになりやすく、充分注意して染色します。

まず水洗い、糊抜きした絣筵を冷液の時から揉みながら染色し、徐々に昇温し、目的の色に染着したら煮沸して堅牢度を高めます。この時揉み込みが強すぎたり、煮沸時間が長いと、綿糸に織り込んだ絣模様の部分に染料が浸透して、汚染されるので注意しなければなりません。

これを防止するため、煮沸時間を短縮し、後で蒸熱処理を行います。地色の染色をした糸は、充分洗浄した後乾燥させます。

部分解き

部分解き用印付け絣模様の一部に着色する場合は、各絣筵の着色する部分に印付けをします。印付けは、図案に合わせて正確にしなければ、経、緯の絣の色模様が合わなくなるので、間違ってはなりません。

着色するために印付けした部分の絣締めした綿糸を取り除く作業です。印付けした部分の綿糸をリッパーなどで切った後、この綿糸を引き抜きますが、リッパーの操作を誤ると、絣糸まで切るので充分注意して、ていねいにしなければなりません。

部分抜染

染色した糸を使って、絣締めをし、さらに地色を染色したものは、部分解きした絣模様の部分が着色しているので、その部分を抜染しなければ他の色の着色ができません。

泥藍染めの絣は藍色に着色してあるので、一旦脱色しなければなりません。地色は脱色されずに、部分解きした絣模様の藍色だけを脱色するように、脱色剤の調合と脱色法を間違わないように注意する必要があります。

絣摺込み

部分解きした絣は、糊を抜き絣部分に染色します。細かい点絣模様に着色するので、染料が浸透して他の絣を汚染しないように、染料液に糊剤を添加した捺染糊液を摺込んで染色します。摺込法は、絣が広い場合は竹や金属製のヘラを使用しますが、狭い点絣は針を使つて摺込みます。

地色摺込み

近年、地色の多色入大島紬が生産されていますが、この絣染色は摺込み染色法で行います。着色を間違えないようにするため、白い絣蓬に図案に合わせて着色する部分の色別の印を付けます。

一小間でも間違いがあってはいけないので、特に熟練した責任者が行います。印付けした絣筵は色別に摺込み染色をします。16本の東になった糸を狭い間隔で絣締めしてあり、この筵の一小間一小間に斑なく染料を捺染する一方、綿糸で締め込まれた絣部分に浸透汚染しないよう細心の注意が必要です。

摺込用の捺染染液を、先に注射針を取り付けたポリ製の油差しの容器に入れて、この針先から染料液を押し出すようにしながら、色別に一小間一小間摺込んで染色します。

蒸熱処理

摺込み染色が全部完了したら、蒸器で蒸熱して染料を染着させます。蒸熱は充分にしなければ、染色堅牢度に影響します。

洗 浄

染色が全部完了したら、これを洗浄します。余分の染料などが付着していると、染色堅牢度が低下するので、洗剤を使用して充分に洗浄しなければなりません。

絣総解き

絣蓬は染色が終わったら、織り締めした綿糸を全部取り除きます。綿糸は長くて解き難いので、一応短く切った後に解くと作業し易くなります。絣糸の染色加工が完了し、絣糸ができ上がります。

揚枠

何百枚という絣筵を解いて長い絣糸になるので、もつれたり、混ざり合ったりして整理が困難になるので、一種類ずつ枠に巻き取ります。揚枠した絣糸は、枠から外し、図案に合わせてその順番通りに並べて、番組みをします。

経絣の仕上げ糊付け

経の絣糸は製織を容易にするため、仕上げ糊をします。特に大島紬は製織の際、針を使って経絣を一本一本調整しますが、泥染めの絣などは滑りが悪いので糊の中に油剤を少量添加し、滑りを良くします。

経絣の仕上げ糊張り

糊付けした経絣糸は、番組みした絣の順に一種類ずつ糊張り台に張りますが、同一模様の東になった16本の糸が、一本一本ほぐれるようにしながら、一疋分あて組分けして張ります。整経時に本綾を取ってあるので、その順番にはぐすとほぐれ易くなります。

糊張りしたまま、糊を充分に乾燥させますが、糊張りの際の張力が、後の製織に影響するので、糸の張力は一定にしなければなりません。

糸の手繰りは、糊張りした糸を取り上げる時は、組み分けした一組ずつを別々に手繰りして取り上げます。この一組で一疋分の経絣糸になります。

絣の配列

一疋ずつ手繰りした経絣糸は、さらに図案に合わせて布巾の絣の順番に配列をしますが、この配列を間違えると模様がくずれ、経。緯の絣模様が合わなくなり、製織ができなくなるので、配列を間違えないように慎重にしなければなりません。

荒筏通し

経絣を模様の順に配列した糸は、板に巻き込みますが、この糸を順序よく揃えて巻くために筏を通して並べて巻きます。

板巻き

歳通しした経絣糸は、板に巻き込みます。糸をていねいにさばいて、もつれを直しつつ、筏を移動させ順序よく並べながら、糸を引き揃えて巻き込んでいきます。

糸繰り

地経糸は、紀糸の時に糊付けをしておき、これを整経する前に小枠またはボビンに巻き取ります。この糸繰りは俗に「糸繰り三年」といわれており、単純な作業ですが、上手な糸繰りは作業能率が良いばかりでなく、後々の加工能率や、製品の品質にも大きな影響を与えます。主として老婆の仕事となっていましたが、近年は自動糸繰機などが利用されるようになっています。

整経

小枠またはボビンに巻き取られた糸は、設計に基づいて枠立てし、整経台を用いて必要な長さと本数の地糸を整経します。地経糸の長さは、一般に一疋(2反)を単位に整経するので長さは一定です。今でも手ばえ整経台を利用していますが、大きな工場では、動力整経機を使用するようになっています。

綾取り(2)

整経する糸は必ず綾取りをしておかなければなりません。綾取りによって整経した糸の順番が定められるので、後の糸の巻き込みの際に作業が容易になります。綾取りは一本一本交互に取る本綾と、数本ずつまとめて取る荒綾があります。この綾はこばれないように丈夫な糸を通し、輪にして結んでおきます。

地経糸の巻き込み

整経した糸は、地経糸だけを織機に巻き込みます。織機の千切に、織巾に合わせて一様に並べて強く巻き込みますが、糸のからみ合いの防止と、張力を増すために、千切を一周するごとに機草を一本ずつ挟んで巻きます。

巻き込みが弱かったり、ゆがんでいたりすると、製織の際に経糸の張力や左右の張力が不均一になって、緯糸の打ち込みが平均せず製品の品質を落とすので、注意していねいに巻き込みます。

経糸の割り込み

千切に巻いた地糸と、板巻きした絣糸を、図案に合わせて順序よく割り込んで配列します。

綜続通し・歳通しは、割り込み、配列した経糸は綜続通しをします。大島紬用の綜続は糸製の単綜続三枚を使用します。平織組織のため、前と後の綜続に一本ずつ順序よく交互に通していきます。

綜続通しをした糸は、筏に通します。後綜続に通した糸と、前綜続に通した糸の2本を一緒に歳羽に一羽ずつ順序よく通していきます。歳は一般に竹製のものを使用していますが、金属製の歳も使用されています。

歳羽に通した糸は、少しずつ束ねて歳羽から抜けないように結んでおきます。筏通しが済んだら、歳をバッタンに取り付けます。

地緯糸は管に綾振りしながら巻き込みます

地緯糸の管巻き

地緯糸は竹製または木製の管に巻きますが、適当な太さで中太になるよう、綾振りしながら巻き込みます。綾振りを上手にしないと製織中に、糸がほぐれてもつれてしまいます。

緯絣糸の揚げ枠は、染色後に、絣締めの綿糸を解いた緯絣糸は、一組ずつに組み分けした後、水洗して糊抜きをします。泥染絣などの増量している糸は、糸の滑りを良くするため油浴をします。

この絣糸は、大体16本を束にして絣加工してあるので、これを綾取りした順番にガイドを通して、一本一本に分けて小枠に巻き取ります。糸が切れてもつれないよう、手でゆっくり枠を廻しながら巻かなければなりません。

緯絣糸の管巻きは、小枠に分けて巻いた緯絣糸は、製織用の管に巻き取ります。竹製また木製の管に、一本ずつ巻き取っていきます。

歳通しした経糸は、千巻に取り付けた織付け棒に結んで固定します。織り付け棒は相当の力を加えても、たわまない丈夫な棒を使用します。

まず地糸と絣糸は別々に区分した後に、さらにそれぞれ十等分程度に小分けして、織り付け棒に結びます。この時、地糸は特にていねいに引き揃えて、地糸全体の張力が均一になるようにして結ばなければなりません。絣糸は製織中に随時糸をゆるめて調整するので、張力は大体同じであれば良いのです。

経糸を織り付け棒に固定したら、最初に地糸を3~ 4 cm程度織って織口を整えます。次に本場の織口文字を織り込み、さらに地糸を約0.5~lcm織った後に、経絣糸の模様作りをします。近年は経絣糸の最初の点絣を横の一線上に並べると、経絣の大体の模様が出るように絣加工してあり、これを抜ぎ切り締めといいます。

経絣の大体の模様が出るように絣加工します

製織

経絣の柄出しが済んだら、緯絣の製織を行います。経絣の模様に合わせながら緯絣を一本一本織り込みますが、歳で打ち込む際に、打ち込みが強すぎたり、弱かつたりすると、経絣が緯絣に合わなくなつてくるので、打ち込みは経験を要し、これで一人前の職工といえます。

緯糸を約l cm織るごとに伸子を張り替えます。伸子の張り替えを怠ると、布巾が狭くなって絣合わせが困難になり、作業能率が悪くなるばか
りでなく、歳羽に経糸が擦れて経糸が毛羽立ち、品質を悪くします。約10cm程度織ったら経糸の調整に移ります。

経絣糸の調整は、約10cm程度織ると、それぞれの絣糸の伸び率の差によって、絣の模様がずれてくるので、緯糸の織り込みを止め、経糸の張力をゆるめて、経絣のずれを調整します。

大島紬は経絣と緯絣の模様が正確に合わされていなければならないので、この経絣糸の一本一本を調整針を使って引き上げたり、引き下げたりして、全体の絣模様を合わせていきます。

緯糸の打ち込みが強かつたり、弱かつたりすると、経絣の調整が困難なばかりでなく、無理な調整によって、地経糸と経絣糸の張力が不均一になって、製品の品質が低下します。

経絣糸の引揃えと固定

大島紬の経糸は、随時絣調整をしなければならないので、地糸と別に板に巻いておくだけで固定していません。したがって絣調整をした後に、経絣糸は間丁のところで糸を一様に引き揃え、つむに巻きつけて、固定します。

奄美ではこの作業を「モデをする」といい、この絣糸を一様に引き揃え、地絣糸の張力に合わせながらつむに固定する作業は経験と熟練を要し、製織作業の能率に大きく影響します。絣糸をつむに巻いて、固定したら、緯糸の織り込みを再開します。

製織工場

大島紬の製織は、工場内で作業する内機制と、織機を家庭に持ち込んで織る外機制とがあります。どれも賃機制度になっており、一反ごとに織賃が計算されます。県内一円に製織工場があり、また奄美では小さな部落でも機織りの歳音が聞こえます。

大島紬は、伝統工芸品としてだけでなく、高級絣織物としても高く評価されています。これの永続と、信用を保持するために、技術の研究改善はもちろんのこと、随時製品の品質検査を行って、粗悪品の防除に努めています。

大島紬は、両産地の組合で自主的に製品検査をしています。生産された紬は、一反一反、専門の検査員によつて毎反検査し、二十数項目にわたる検査規定にしたがって、厳重な検査を行っています。

多くの人手と、半年から一年もかけてていねいに作った製品ではありますが、産地の信用保持のため、検査規定や標準に合わない製品は、容赦なく不合格となります。検査が完了した製品は組合の商標を貼り、合格、不合格の検印が押され、生産者に返されます。

こうして検査して商標を貼った製品のみが、本場の大島紬として市場で取引されるのです。特に近年、他産地の模造品や、類似の商品名を付けた商品、さらに韓国産の商品が市場に出廻っており、本場の大島紬を購入する場合には、この本場の商標や織口文字を確認する必要があります。

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